『迷惑をかけないExcel』というタイトルにひかれて読んでみたら意外に役立った
実践ワークシート協会,田中亨(2015)『迷惑をかけないExcel』翔泳社 という本を読んだ。
書いてあることの中で最も重要なのは、「入力」「計算」「出力」のシートを分ける、ということだ。というかこれ以外は些末な問題だとすら言える。世界中の人間が最低限、この「入力」「計算」「出力」ルールさえ守ってくれれば、人類全体の幸福度が間違いなく上がる。(次点で、「日付はシリアル値で扱う」も重要)
「入力」「計算」「出力」のシートを分けると、どんないいことがあるのか。それは、ほかの人が後から「ちょっといじる」「修正を加える」ことがしやすくなる、ということである。
職場で他人の作ったExcelシートをいじるとき、必ずと言っていいほど悶絶する羽目になるが、その元凶は、一にも二にも、とにかく入力と計算と出力を1枚のシートでやろうとしているからに他ならない。
そもそも、仕事でエクセルを使う場合、ほとんどが、前任者が残したファイルを「ちょっといじって」使う必要に迫られる。単なる文書作成ならワープロソフトで事足りるし、ガチガチのデータベースみたいなものは、普通の企業なら業務システムとして用意されている。業務で使っているシステムでは仕様上つくれないような帳票とか、基幹システムでは保持していないデータを、便宜的に扱いたいからこそ、Excelを使う必要が出てくるのである。
そういう、かゆいところに手を届かせるための、中途半端な立場にいるのがExcelなのだから、当然、頻繁に「修正」をしたくなる。ところが、他人が作ったExcelファイルを修正しようとすると、意味わからん参照やめちゃくちゃなVBAに直面しまくって、キーボードをたたき割りたくなるのだ。
だから、Excelファイルは、後から修正されることを前提に作られるべきなのだ。そのためには、「入力」「計算」「出力」のシートを分けることが、なにより大事。
「入力」「計算」「出力」のシートが分けられてさえいれば、多少へんてこな関数の組み合わせであったり、セル結合のオンパレードであっても、なんとか読み解いて再利用できる。
この本のタイトルの「迷惑をかけない」という視点、マジで大切にしてほしい。世の中のExcelを使うすべての人にわかってほしい。